【静電気と表面張力】「ぽかぽか」で監修!日常の「困った」を科学で解決するライフハック集(科学監修)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

皆さん、こんにちは! 紅茶のティーバッグを引き上げた瞬間、ポタポタと水滴が垂れてテーブルが汚れてしまった…なんて経験はありませんか? あるいは、冬におしゃれをしようとセーターを着たら、タイツとの間で「バチッ!」と静電気が起きて痛い思いをしたことは?

私たちの日常にあふれる、こうした小さな「困った!」。 実はこれ、ほんの少しの科学の知識で、スマートに解決できるんです。

先日、11月5日(水)放送のテレビ番組「ぽかぽか」(フジテレビ)にて、そんな暮らしに役立つ科学の「裏ワザ(ライフハック)」の監修を担当させていただきました。今回は、番組でご紹介した内容を、中学生の皆さんにも分かりやすいように、もう少し深く掘り下げて解説します!

【ライフハック①】ティーバッグの水滴は「2秒」で止まる!~水の不思議な力「表面張力」~

まずご紹介したのは、ティーバッグを引き抜く時に水滴が垂れにくくなる技です。

その技とは、「引き出す前に、液面にティーバッグを2秒程度つける」というシンプルなもの。 なぜこれだけで水滴が垂れにくくなるのでしょうか?答えは、水の「表面張力(ひょうめんちょうりょく)」にあります。

表面張力とは、水が「仲間同士で手をつなぎ、できるだけ小さな表面積になろう!」とする力のこと。コップにギリギリまで注いだ水が、縁から盛り上がってこぼれないのも、この力のおかげです。

ティーバッグを引き上げると、バッグの網目に水滴がぶら下がります。これが重力に負けてポタッと落ちるわけです。

しかし、引き上げる直前に「2秒」液面につけると、ティーバッグに残った水分(水滴になろうとする水)と、カップの中の水面が「やあ!」と再び手をつなぎます。表面張力の力で、余分な水滴がカップのほうへスッと引き戻されていくのです。たった2秒待つだけで、水の「仲間意識」を利用して水滴の落下を防げる、とても賢いライフハックですね!

【ライフハック②】冬の「バチッ!」を防ぐ科学~静電気の正体と最強コーデ~

次に紹介したのが、冬のコーディネートの悩み、「静電気」です。

セーターを脱ぐときに髪が逆立ったり、ドアノブで「バチッ!」となったり、本当に厄介ですよね。 静電気の正体は、物がこすれ合うことで発生する「プラス(+)とマイナス(−)の電気のアンバランス」です。

特に、異なる素材がこすれると、一方はプラスの電気を帯びやすく、もう一方はマイナスの電気を帯びやすくなります。この「電気的な性質の差」が大きければ大きいほど、強い静電気が発生します。

番組で解説したのは、 「ポリエステル(−に帯電しやすい)とウール(+に帯電しやすい)の組み合わせ」は、電気の差が大きいため、静電気が非常に起こりやすいということ。

逆に、「ウールとウール」のような同じ素材同士、あるいは電気的な性質が近い素材同士なら、摩擦が起きても電気の偏りが少ないため、静電気は起きにくいのです。

では、起きてしまった静電気はどうすればよいでしょう? 実は、静電気は「湿気(水分)」が大の苦手です。

そこで役立つのが「ハンドクリーム」です。ハンドクリームをタイツ(特にスカートとこすれる部分)に薄く塗ることで、その水分や油分が、体に溜まった電気を空気中に逃がしてくれる「逃げ道」の役割を果たします。

ハンドクリームが静電気防止スプレーの代わりになるなんて、驚きですよね。これも立派な科学の応用なんです。

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